歯周再生療法治療

リグロスを用いる歯周組織再生療法とは

投稿日:2020年10月5日 | 最終更新日:2024年2月1日

リグロス(歯周組織再生療法)

歯は歯ぐきではなく、歯槽骨(しそうこつ)という骨によって支えられているのです。この歯槽骨が溶けてしまう病気が歯周病です。歯を支えている骨がなくなってしまうと、歯は支えを失って抜けてしまうのです。この溶けてしまった歯槽骨は再生療法以外では元に戻りません。

つまり、歯周病治療が成功すると、歯肉の腫れや出血はなくなりますが、一度減った骨は再生しませんので、進行した歯周病では、
歯はぐらぐらのままの事があります。しかし、歯周組織再生治療により、骨を含む歯周組織の再生が可能になりました。

リグロスを用いる歯周組織再生療法とは、通常のフラップ手術だけでは歯周組織の回復が難しい場合、歯の発生時と同じ環境を作る事により、
歯周組織・歯槽骨の再生を期待して、重度の歯周病でも改善が期待できます。

 

リグロスで得られる効果

歯周組織が再生することによって、次のような効果が得られます。

  • 歯周ポケットが改善される
  • 歯槽骨が再生される(歯の動揺を改善できる)

リグロスの適応症

歯周病の全てのケースでリグロスによる再生療法が適応となるわけではありません。リグロスによる再生療法が適応となるのは、歯の周りの骨が全周吸収された症例ではなく、部分的に吸収された症例でなければなりません。
すなわち、骨吸収の形態が垂直的な場合は適応となり、歯の周囲全て(360度)の骨が水平的に吸収されているようなケースでは、適応となりません。

診断:歯周病の進行度と適応症例の診断のため、各種診査を行います。

  • 歯周ポケット検査(歯磨き状態と歯の揺れ具合の評価を含む):歯肉の炎症所見、進行度を確認します
  • エックス線検査:歯を支えている骨の吸収程度と形態を確認します。CTも撮影します。
  • 歯周病のCT画像  CTにより3Dで骨欠損の状態が、視覚的に診断できます。

適応症

十分な術前の診査を行い応用可能かどうか診断する必要があります。

  •  歯周病の基本治療(歯磨き指導と歯周病ポケット内の歯石除去)が終わっている方
  •  4mm以上の深い歯周ポケットが残り、エックス線検査で垂直性骨欠損と呼ばれる(部分的なくさび状の骨の溶け方)をしている方

治療方法

フラップ手術の際に、再生療法『GTR法(組織再生誘導法)』、『Emdogain』、『リグロス*』に用いられる材料を併用して再生効果を期待します。

歯周組織再生剤「リグロス」
リグロスの成分は細胞を増やす成長因子で、この成長因子の作用により歯周病で破壊された歯周組織の再生を促進する治療法です。
フラップ手術で、プラーク・歯石などを取り除いた後に歯槽骨の欠損部にリグロスを塗布し、歯を支えている歯周組織の再生を促します。
リグロスと同じ成分は、すでにやけどや床ずれなどの治療に使用されています。また、2016年9月よりリグロスによる歯周組織再生療法は保険適用となりました。
リグロスによる歯周組織の再生イメージ画像
リグロスは、成長因子の作用により歯周病で破壊された歯周組織の周囲にある細胞を増やし、さらに血管を作って細胞に栄養を送り込みます。
これらの作用により歯槽骨などの歯周組織が再生されます。

フラップ手術におけるリグロスの塗布

フラップ手術におけるリグロスの塗布イメージ画像

フラップ手術後の注意点

  • 抜糸するまで手術部位には触らないでください
  • 手術当日は、強く口をゆすいだり、飲酒などは控えてください
  • 手術部位の歯みがきなどは歯科医師もしくは歯科衛生士の指示に従ってください
フラップ手術後のスケジュール(例)
歯周病の発症時期にかかわらず、治療により再生は起こります。しかし、再生治療の適応となるケースが限られています。一般的には中等度の歯周病が対象となります。
また、患者さんの年齢や体力、免疫力、御自身による歯磨きなどの努力により大きく左右されます。

定期的な受診について

機能的な歯周組織を取り戻すまでには、数ヵ月~から1年程度かかります。 歯周組織が再生する期間、および程度は個人差があり、歯周病の進行具合によっても異なります。術後のスケジュールの詳細も患者さんによって異なりますので、必ず定期的な検査を受けるようにして下さい。
治療が終了した後も、口の中の衛生状態を定期的に検査しメインテナンスを行うことがとても大切です。
歯周病を再発させないためには、歯や歯の周りをいつも清潔に保つことが大切です。いつまでも自分の歯を大切にして下さい。

歯周病治療チーム

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