歯周病の治療|福岡市 専門歯科医院

調査する歯科医師
目次

歯周病治療の2つのポイント|福岡市

歯ブラシ歯科衛生士

歯周病治療の基本は、次の二つの治療が重要です。

  1. 「歯周病菌に対するアプローチ」
  2. 「咬む力に対するアプローチ」

歯周病菌に対するアプローチとは?

歯周病菌に対する二つのアプローチ。歯周病菌の量が少ない口腔環境を作る事と、すでに歯周ポケットの中に入り込んだ歯周菌を徹底的に除去していくことです。

歯肉の溝(歯周ポケット)に住んでいる歯周病菌の除去が大切です。

歯周病菌がつきにくい口腔環境をつくるには?

歯周病菌は、唾液に流されないように、口の中に安住の場所を求めます。それはどんな場所かというと、ザラザラしたところやデコボコしたところです。

  1. ザラザラしたところ=歯石
  2. デコボコしたところ=虫歯や銀歯やプラスチックの詰め物になります

つまり、ばい菌がつきにくい口腔環境をつくるには、この2つに対して適切な処置をすることが必要になります。

まずは、歯石に対する処置について説明します。
歯石は、歯垢が古くなって化石となったものです。表面がとてもザラザラしており、ばい菌が付着しやすくなっています。歯医者に行き歯石を取ったとこがあるとおもいます。
これは、歯石自体を取り除くことが目的なのではなく、歯石に歯周病菌が付着しないようにしているのです。

次に、虫歯です。虫歯になると痛みが無くても歯の表面がデコボコになります。歯周病にあまり関心がない歯科医院ではもう少し経過を診ましょうとか、症状が出たら治療しましょうとか、できるだけ歯を削らないことを勧める所もあります。
歯周病が全く進んでなければそれでいいのですが、歯周病菌にとってはありがたい環境なのでマイナスです。

銀歯やプラスチックなどの詰め物に対する処置です。詰め物と歯との間に段差がある場合、そこはばい菌が隠れる絶好のポイントになります。そのため、この段差をなだらかにする処置を行います。また銀歯は錆びます、プラスチックやハイブリッドの歯は表面に汚れが付着しやすいため、口腔内の環境を悪化させます。

歯並びが悪いことも清掃が困難になる原因になるため、必要に応じて矯正をおすすめします。
「咬む力に対するアプローチ」にも矯正治療はとても重要な治療です。

「歯周病菌がつきにくい口腔環境づくり」は、歯周病の進行状況によって、病気が進んでいる方は徹底的に、比較的軽度な方はそれに合わせた内容です。
リスクに合わせて適切に処置内容を選択し歯周病と戦っていきます。 歯周病が進行している方の治療は、一般歯科医では困難な場合が多いです。

歯周ポケットの中に入り込んだ菌を徹底的に除去するには

 歯周ポケットは、歯周病菌が非常にたまりやすい場所です。この溝が深い方ほど、歯周病菌にとって居心地がいい口腔環境であると言えます。
この溝を浅くしていくことが、口腔環境を整えていくために大切なポイントの2つ目になります。

そして、歯茎の中に隠れている歯周病菌を除去していくことが、歯周ポケットを浅くするために必要な処置なのです。

なお、歯茎の中に隠れている菌をきれいにしていくことを、専門用語で「SRP」または「歯肉縁下のデブライドメント」と呼びます。
この「SRP」「歯肉縁下のデブライドメント」が、歯周病治療の基本中の基本といえます。

ただし、歯周ポケットの中は目では見えないので、私たち歯医者も手探りで除去することになります。また、その溝の中にはばい菌だけでなく、歯石もたまっています。手探りで菌や歯石を取り除くのは、非常に時間と手間がかかることで、3.75㎜以上の歯周ポケット内は熟練した術者でも完全除去は困難であると報告されてます。

また、歯茎の溝をきれいにするには、当然器具が歯茎に接触します。多少の痛みがあるので、麻酔が必要になることもあります。
この治療を頑張ると、口の中はだいぶスッキリします。「歯茎から血が出ない、ねばねばしない」という状況を体感してください。

ここで大切な事があります。歯周検査後の数値をかかりつけの歯科医院で説明を受けて下さい。

ポイント

☆ この状態で、表面的にきれいに成ったと勘違いしてメインテナンスに移行すると、歯周病は深部で進行していずれ抜歯となります。要注意です!
要点は、歯周ポケットの検査をしてまだ4㎜以上のところが有るか無いかです。
もし4㎜以上の歯周ポケットが残っていれば歯周外科治療や歯周再生療法、骨移植等々、歯周外科治療の対象となることが多いです。

この段階になると、一般歯科医では処置困難な事が多いので、歯周病専門医を紹介してもらい治療を継続しましょう。

噛む力に対するアプローチとは?

 歯周病で歯を支える骨が減ってしまうと、1本の歯では噛む力を支えられなくなる可能性があります。その場合、噛む力に耐えられるように対応していくことが必要です。
具体的には、入れ歯やインプラント、ブリッジといった選択肢がありますが、そのような治療方法を「いかに残りの歯に負担をかけずに設計していくか」というところにあります。

物を噛む力は筋肉で決まります、歯周病の方は歯の本数が少なくなってます、つまり1本1本の歯が弱ってるのに本来かかるはずの力以上がかかります。
ブリッジにしても支える歯の本数は同じなので、大きな力がかかり結果として歯の寿命を短くします。
最適な治療方法はインプラントです。インプラントを植立することにより力が分散して残ってる歯の負担を軽減します。予防治療です。
しかし通常のインプラント治療と違い、歯周病の方の治療は両方の深い知識が必要となります。
両方の知識がある歯医者を見つけるのは困難ですが、学会のホームページに公開してある名簿は参考になります。

日本臨床歯周病学会では、専門の歯周インプラント指導医、全国60名の名簿が公開されてます。 お近くの専門医を受診して下さい。

歯周病の方は歯が移動して咬み合わせが崩れている場合が多いです。その状態から咬合再構成する必要が有りますので咬み合わせの深い知識が必要です。
噛む力に対するアプローチも、人によって取り組み方は大きく変わります。あまり必要のない方もいらっしゃれば、全体的に治療しないといけない方も多くいらっしゃいますの。

歯周病治療の具体的な流れ

では、実際の歯周病治療の流れはどのようなものなのでしょうか?「歯周病菌に対するアプローチ」「噛む力に対するアプローチ」を含めた治療の流れを説明します。

歯周ポケット検査

 まずは歯周病重症度のスクリーニングとして歯周検査をし、歯周病であるかどうか、虫歯があるかどうかなどを確認していきます。
そして、その検査結果に基づいて現在の状態を説明し、それに対応した治療計画を説明します。

  • 正しい歯磨きのやりについてもお伝えします。
  • 歯茎の溝をきれいにするための準備として、歯茎よりも上の部分に付着している歯石や、ばい菌を除去する処置も行います。
  • 全体的な歯肉より上の歯石を中心として、超音波スケーラーにて歯石除去とポケット内洗浄を行います。
精密検査

 約1週間後に再度歯周検査を行います。今度はより正確な精密検査を行います。

  1. レントゲンを細かく撮っていく検査「10枚法もしくは14枚法」
  2. 歯周ポケットの状態を詳しく検査する「精密6点法ポケット検査」

この段階では精密6点法ポケット検査必要です。
精密6点法ポケット検査とは、本格的に歯周病の治療を行っていくために、より細かいデータが必要です。
精密検査では1歯につき6箇所の数値を記録するため、精密6点法ポケット検査と呼ばれます。

精密検査

この段階で、6点の検査をしていない歯科医院に歯周病治療を目的として通院しても効果は少ないでしょう。

前段階では、口腔を全体的に撮影した写真やレントゲン(パノラマ)、簡単な歯周ポケット1点法検査を元に判断しますが、この段階ではより詳しく検査をして、正確な状態を確かめます。 なぜ再度検査するかというと、最初の段階では歯肉の上の歯石が邪魔をして正確な検査ができないからです。

治療前の確認とお願い

 精密結果をもとにして、歯周ポケットに隠れている深い歯石や歯周病菌を徹底的に取る段階に移ります。

前提条件として「患者さん自身が、確実な歯磨きをできているかどうか」ということです。
なぜなら、歯肉よりも上の部分をきちんときれいに磨けていることは、歯肉の溝の中を触るために必要な条件になるからで、この条件が満たされない場合、歯茎の溝の中をきれいにすることは難しいです。

麻酔を使用して歯茎の溝を徹底的にきれいにしても、患者さんが食事後に歯磨きが上手にできていなければ、また歯周病菌が増えてしまいます。
それどころか、掃除したばかりの時は、歯肉の溝がいつもより少し開いており、菌が入りやすくなっていますから、再感染を起こします。

ブラッシングでご協力いただけない場合は、ある程度妥協的に治療するか、ここで治療を終了するかを選択することになります。
歯周病治療は、私たち歯医者、歯科衛生士と患者さんとが共同で行うものです。

精密治療

 次の段階は、歯周ポケットに隠れた歯周病菌を徹底的に除去する治療を行います。
この段階になると、一般の歯科医院でも治療技術の差がかなり出ます

治療時間は、1回あたり30~45分ほど。これを4~6回ぐらいに分けて行っていきます。根気がいります。

なお、ここまでの工程は、すべて歯科衛生士がメインになって行います。歯科衛生士は、歯科医師同様に国家資格です。
患者さんの中には「先生が治療しないのだから、大した治療ではないのだろう」と考えられる方もいらっしゃいますが、それは間違いです。
実は、ここまでの歯周基本治療は非常に重要です。

歯科衛生士にも、日本歯周病学会や日本臨床歯周病学会が認定したプロフェッショナル、歯周病専門の資格を持つ歯科衛生士が難関なので数は少ないですが全国にいます。

歯肉の治癒期間

 治療が終わってから3~4週間位は、歯肉の状態が治癒するのを待ちます。この間に、虫歯の治療をしたり、被せものの段差を調整もしていったりします。

再評価検査(精密検査)

 再度、精密検査を行います。歯周ポケットを精密に検査し、必要であれば写真を撮影します。検査で異常がなければ、ここで治療は終了です。

中等度~重度の歯周病の方は、ここからが本番です。

☆ この状態で、表面的にきれいに成ったと勘違いしてメインテナンスに移行すると、歯周病は深部で進行していずれ抜歯となります。要注意です!
要点は、歯周ポケットの検査をしてまだ4㎜以上のところが有るか無いかです。検査結果を教えてもらいましょう。
もし4㎜以上の歯周ポケットが残っていれば歯周外科治療や歯周再生療法、骨移植等々、歯周外科治療の対象となることが多いです。
 この段階から先は、歯周病専門医の担当分野です。

高度な歯周外科手術

 精密検査で治っていないことが判明した場合は、歯周外科手術という治療を提案します。
歯を支えている骨が溶け、ひどくデコボコした状態になっている方は、歯周病菌と汚染物質をきれいに取り除くだけでは歯周ポケットが浅くならないケースがあるのです。 この場合、手術を行って、骨自体の段差を調整することが有効になります。

「完治を目指すには必要だとしても、どうしても手術まではやりたくない」という方には、その状態をできるだけ延命できるようメンテナンスするという方法もあります。手術の必要性に関してはご説明するので、最終的な判断は患者さんでしていただければと思います。

歯周外科手術には、フラップオペと歯周再生療法があります。特に再生療法には皆さん非常に期待されますが、対応可能な歯科医院はきわめて限られます。

近年、再生療法、が保険適用となりましたが、全ての歯科医院で認められている治療方法ではありません。
受診前に確認される事をおすすめします。

再再評価と補綴治療(被せ物)

 歯周外科治療終了後、1ヶ月後に再度歯周精密検査を行います。
ここまでのステップは仮の歯で行うことが原則です。この段階を過ぎると最終的な歯を型取りをして入れて行きます。
しっかりとした歯周治療を受けた事が無い方は、治療の途中でいつになったら仮歯が本歯にかわりますか? と質問されます。
健康保険のルールも歯周病の治療を行う場合は、補綴治療(最終的な被せ物)はこの段階で進めるように決まってます。
 虫歯治療専門の歯科医院とは治療ステップが違います。

 歯周外科手術をした場合、歯肉が元の状態に治るのを待って再度検査を行います。
問題がないことを確認できたら、必要な方には「咬合力に対する治療」を行います。
具体的には、人工歯を被せたり、インプラントを埋め込んだりといったものです。こうした治療は、歯肉がきれいで健康な状態でないと行うことができません。
つまり、歯周病が進行した方でインプラントを希望される場合、ここまでの治療を乗り越えなければならないということです。よく「歯周病の方ってインプラントはできないんじゃないですか?」という質問をいただきますが、正確な答えは「NO」です。歯周病をきちんと治療した上であれば、問題なく施術が可能なのです。逆に、歯周病を治さずにインプラントをするのは非常に危険です。 インプラントもインプラント周囲炎という歯周病と似た病気に罹患します。

なぜ、私が歯周病専門医とインプラント専門医のダブルライセンスを取ったかというのは、両方の関連性が非常に強いからです。

メインテナンス

ここまでの段階を終えたら歯医者に来なくて良いかというと、実はそうではありません。残念ながら、歯周病菌は常在菌でゼロにはならないからです。

私たちの口の中には常在菌がいます。その中で歯周病菌という悪玉菌の割合が多くなると、歯周病になるわけです。そして、歯周病菌の割合が多くなっていくと、歯周病は加速度的に進行してしまいます。つまり、定期的にメインテナンスに来てケアしていただかないと、再発するリスクが非常に高くなります。

「自分で正しい歯磨きができるようになったから大丈夫」という方もいらっしゃるかもしれませんが、それは危険です。もちろん、歯周病治療が終わった後も、きちんと丁寧に歯磨きをすることが必要です。しかし、いくら歯磨きが上手になっても、歯周病になって歯茎が下がった歯=長くなった歯は、普通の方よりも歯磨きが難しくなっています。また、被せものをしたり、ブリッジや入れ歯を入れたり、インプラントを埋めたりすれば、さらに歯磨きが難しくなります。どうしても歯ブラシが当たってない場所、歯間ブラシが当たってない場所が出てきて、磨き残しが発生してしまうのです。メインテナンスでは、そういったところもフォローしますし、細菌がバイオフィルムを形成すると歯ブラシのみでは落とす事ができません。その様なところを歯科衛生士がきれいにして歯周病の再発・進行を防ぎます。

メインテナンスの頻度としては、1~3ヵ月に1回程度が基本です。症状が進行して無くて歯磨きが非常に上手な方はなら3ヵ月〜半年に1回。あまり歯磨きが上手でない方や歯周病が進行している方なら、1~3ヵ月と短くなる場合もあります。通院ペースは人それぞれの病状によります。くれぐれも、「治療が終わったから、これで歯医者に行かなくていい。口の中のことは忘れて、歯磨きも適当でOK!」などと思わないようにしてください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次